犬を日本へ
連れて帰る
手続き
犬をアメリカから
日本へ
ついこの間、アメリカから日本へ犬を連れてきました。私の体験記です。
日本は狂犬病のない国、そしてアメリカは狂犬病のある国です。ある国からない国へ連れて帰るための手続きは計画が必要です。日本へ連れて行く日を決める目安に、犬のことを最初に考えて動く必要があります。条件がきちんと満たされていないと、送り返される可能性もあるとか、ちょっと不安でたまらないようなことが書いてあるので、私もすごく神経質になりましたが、犬を検疫所で長期的にとめられないですむように、きちんと調べて、可愛いワンちゃんを無事入国できるようにしてあげましょう。
これは、そういう私のような、犬のことが心配でたまらないし、初めてのことでどうしていいかわからないし、いろいろ山ほど質問があるし、みたいな方のために、参考にしていただきたいと思い、記録に残すことにしました。
マイクロチップの
挿入/狂犬病の検査
まず最初に犬にはマイクロチップの挿入が義務づけられています。そのマイクロチップも国際規格の指定のものでなければいけません。日本へ着いて入国時に、検疫でそのマイクロチップの番号を読み、確かにこの犬は血液検査をしたこの犬と同じ犬だということを確認するわけです。人間だったら指紋みたいなものですね。もうすでにしている人は問題ないですが、まだやっていない人はまず最初にしなければいけません。
狂犬病の注射は2回することが義務づけられていて、マイクロチップ挿入後、2度目の注射をし、採血を国指定の期間へ送って、狂犬病でないことの証明をとります。以前はマイクロチップを入れてから、2回注射をしなければいけなかったようですが、(最初の注射の一ヶ月後に2回目をして)現在は、一度めの注射はマイクロチップ挿入前のものでも、注射からある期間が過ぎていて、尚且つ、有効期限以内であれば、一度目の注射と認めてくれるようになっています。
ちなみに、我が家の犬の場合は狂犬病の注射を8月にしました。翌年の1月にマイクロチップの挿入をし、直後に狂犬病の注射をし、注射後、採血をし、狂犬病の検査をする機関へ送ってもらいました。これが2度目になるわけです。ここで、マイクロチップの挿入と、採血が必ず、その順番で、なおかつ同じ日にされないといけないということを、日本の検疫から念押しされました。通常、狂犬病の注射をしてその日に採血はしないようで、アメリカの獣医は本当に今日するのかと怪訝な様子でした。が、これは日本の検疫の方からも、獣医さんは不審に思うかもしれないが、これは絶対に同じ日にされなければ意味がないということを強く言われていましたので、今日やってくれるようにとお願いしました。
また、よく慣れている獣医さんであれば、日本の検疫のことも知っていますが、海外のことをあまり知らない獣医さんだとそういうことは全くわかりません。日本につれて帰ることが決まったら、そういうことをよく知っている獣医さんを探して動く必要があります。日本の規則も時々かわるので、獣医さんが知っているようでも必ず、日本の検疫所の情報をもとにしてください。また、ほとんどの場合、問題はないとは思いますが、狂犬病の注射につかわれているワクチンも、不活性ワクチンであることを一度確認しておいた方がいいです。英語ではinactiveというものです。
2度目の狂犬病の注射をしてから6ヶ月、出国を待つ必要があります。6ヶ月満たない状態で日本へ連れて行くと、6ヶ月になるまで、日本の検疫で止められることになります。ちなみに、検疫での滞在自体は無料ですが、一日、午前中と午後の2回、検疫所を訪れ、食事を与え、世話をすることが条件となっています。もちろん、ほとんどの人はそれは無理ですから、専門のエージェントに依頼することになります。今回、調べた時点での料金は、犬一匹につき、一日3000円とのことでした。
このマイクロチップ挿入と狂犬病の注射、採血、検査が終わるとちょっと一息ですね。アメリカの場合、この採血されたものを検査してくれる機関は指定されていますので、獣医さんがそこへ送ってくれます。しばらくすると、その獣医さんのところに検査の結果が届き、連絡がくるのでとりに行きます。検査の結果、問題なければ狂犬病の件は終わります。この時、必ず、検査の結果はオリジナルをもらわなければいけませんので、忘れないようにしてください。
私の場合、結果が来ましたよという連絡が獣医さんから来て、とりにいったところ、それはファックスでした。そこには、オリジナルは別便で送られるからとかいてありましたが、とりあえず、結果を知らせてくれたわけです。そこで、私はそのことはすっかり忘れていたんですが、しばらくしてから、いろいろ書類をもう一度確認していたところ、オリジナルが必要と書いてあるではないですか。そこで、獣医さんのところへ電話をしたところ、何度か電話したけど、なぜか連絡がつかなかったからここで保管してますよ~とのこと。こんなこと、日本だったらないかもしれないですけど、アメリカだとおおいにあり得ますから。忘れた私も私ですけど、気がついてよかったです。ちなみに、オリジナルには、検査の結果のところにシールがはってあって、そこに結果がかいてあります。
ここまで終わっていれば、あとは6ヶ月がたてば、犬は検疫所で止められることなく、その日に家に連れて帰られる状態になっているわけですが、そうするための手続きがいろいろあります。
犬の航空券の予約
犬を連れて帰られる日が決まったら、航空券の予約が必要です。犬は人と同じカウンターでチェックインする場合と、貨物としてチェックインする場合があります。私の場合はユナイテッドエアラインで、貨物として別にチェックインする必要がありました。この貨物(cargo)としてチェックインする場所は、人がチェックインする場所と違いますので、事前に場所を確認しましょう。詳しくはご利用の航空会社へ問い合わせが必要です。また、航空会社により必要な物も若干違うようです。これはあくまでも私が利用したユナイテッドの場合ですが、どういうクレートがいいか、またクレート内に敷く、パッドのことや、クレートにつけるボールが2個必要など、とても丁寧に教えてくれました。我が家の犬は小型でいつも一緒に一つのクレートに入っているのですが、旅行の時は必ず、それぞれのクレートに入れなければいけません。飛行機用の規定のクレートがありますので、おそらくその購入が必要です。私はAmazonでクレートもパッドもボールなども購入しました。ちなみに、航空券の代金は、実際に犬がチェックインする時に支払うことになります。
輸入事前届け出
旅行の日程が決まったら、犬の日本への到着40日前までに届け出をしなければいけません。手続きはオンラインでやる方法と、ファックス、郵送などでやる方法があるようですが、アメリカでもあり、私は動物検疫所のサイトから指示に従って登録、申請をしました。これは、犬がいつ日本に到着するか、どこの空港に着くかなどを動物検疫所に事前に知らせるものです。この情報には犬の性別や種類や、マイクロチップの番号などいろいろな情報がのりますが、登録が終わると、メールで届け出受理書というものが送られてきました。内容を確認し、大丈夫であれば、印刷して出発時に飛行機会社に提出する必要があります。また、入力時から出発時までになにか変更があったり、内容に間違いがあったことがわかったら、あとから変更、訂正ができますので、大丈夫です。ちなみに、私の場合、二匹連れて帰ったのですが、雄と雌のところを二匹とも雄としていて、あとから訂正しました。検疫所の方はとても親切で、変更の申請をすると、受け取りましたという連絡をきちんとしてくれ、訂正された届出書をすぐにメールしてくれました。
健康診断
次が、出発の数日前に行う、きちんと資格をもった獣医さん(certified vet)による健康診断です。私の場合、いままでずっとお世話になっていた獣医さんが、指定のマイクロチップを扱っていなかったため、そのためだけに別の獣医さんに行き、また、最終検査の獣医さんは、住んでいるところではなく、別の地でしなければいけなかったので、新たに別の獣医さんにしてもらうという結果になりました。全部同じ獣医さんであれば、ずっと楽だったんですが。
健康診断に行く時は、マイクロチップの番号がきちんと記載されたものや、狂犬病の注射の履歴、結果の証明書などが必要です。日本の検疫所がだしているフォームがありますので、それに必要事項を入力して印刷し、持っていきます。ウエブサイトを見ればわかりますが、フォームがAというものと、Cの1/3、2/3、 3/3というものです。Aは自分で情報を入れるだけですが、Cの方は健康診断したお医者さんからのサインなどが必要です。この健康診断では、獣医さんはマイクロチップの番号を読み取り、確かに挿入されているか、番号に間違いがないかなどを確認してくれます。検査が無事終わると、持っていったフォームのほかに獣医さんが別のフォームをくれますので、それも併せて保管してください。また、何か入力内容などに間違いがあり、訂正をしてもらう場合、修正液などを使うと無効になります。必ず、棒線などで訂正してもらって、そこにサインなどをしてもらってください。
これは絶対必要ではありませんが、日本の検疫所では、すべての書類がそろった時点で、一度その書類を提出してくださいといいます。これは、これらの書類はこのあと、アメリカの政府機関の裏書きが必要なのですが、一度裏書きをしてもらって、なにかの間違いが判明した場合、とても訂正が面倒なので、裏書きをしてもらう前に日本の検疫所の方で内容を確認してくれるものです。私はメール添付で提出して翌日には返事がきました。私の場合、自分で届け出に入力した狂犬病の注射の日が間違っていたのですが、実際の注射の日は書類に記入した日で正しかったので、時間があれば訂正しておいてくださいということで大丈夫でした。が、もし本当に注射した日が書類に記入した日と違っていたら、またお医者さんに戻って、それを訂正してもらう必要があるので大変だったわけです。
Aphis
この書類は実はユナイテッドからきた連絡の中に必要書類として入っていました。USDAの事務所へ問い合わせをした時も必要なのではないかと言われたので、念のため、ユナイテッドに電話して確認したところ、必要ないといわれました。これが全体的にそういうふうに変更になっているのか、それとも、ユナイテッドだけなのかはわかりませんので、ご利用の航空会社へ別途問い合わせが必要です。
書類の裏書き
それから、今度は国の指定の機関による、これまでの書類の裏書きが必要です。私の場合は、テキサス州でしたので、首都のオーステインにあるUSDAというところへ行かなければいけませんでしが、これはすんでいるところによって変わるので、ウエブサイトで、きちんと場所を確認して行きましょう。情報をみると、出発の2日ほど前にと書いてありますが、現実的に、地理的な問題などもありますし、実際には10日ほど以内であれば、大丈夫とのことでした。ちなみに、私の場合、7月9日にアメリカを出たのですが、獣医さんの健康診断は7月の1日、検疫所からの返事をまって、USDAに書類の裏書きにいったのは7月の3日でした。で、10日に日本到着でしたので、だいたい、それくらいの期間は大丈夫のようです。健康診断をしてくれた獣医さんは予約が必要と言ったのですが、実際に電話で問い合わせをしたところ、予約は必要なしで、もしその日にその裏書きをすませたければ、朝一番で来て申請をするようにと言われました。提出して、数日して受け取る人もいますので、必ずその日に受け取りができるようにしておいた方がいいです。私の場合、出発は9日でした。病院に行ったのが、1日、USDAに行ったのは3日です。これは、アメリカは7月4日が祭日で5日、6日と週末で休みというのもあり、週明けの7日ではもし何かあったらと不安だったので、3日に行きました。数時間かかりますが、終わると電話で連絡をくれますので取りにいきます。すべての提出書類に裏書きのスタンプがあるのを確認しましょう。担当した獣医さんの名前などもきちんと記入されていることを必ず確認しましょう。
ここまでが、出発までの犬用の必要書類の準備です。
いざ出発
当日、人間より先に犬をチェックインさせる必要があります。(一緒にする場合もあります)私はテキサスのヒューストン空港からでしたが、同じ空港内の敷地に犬がチェックインする貨物があります。事前に場所を確認しておきましょう。そこへ着くと、カウンターで予約状況を確認され、犬の手渡しがありますが、必要書類を渡す必要があります。私は事前届出書だけが必要なのかと思っていたんですが、書類は全部必要です。そこで、ユナイテッドの人がすべての書類を確認し、一部コピーをくれ、Air Billというのを発行してくれます。到着した時に必要ですので、大切に保管してください。つまり、必要書類のオリジナルはすべて、ここで飼い主から航空会社へわたる訳ですから、渡されたコピーはきちんと全部あるかどうか、確認した方がいいです。(余談ですが、後ほど日本の検疫で書類を確認していたところ、犬の狂犬病の注射の獣医さんからもらったものが、一部なくなっていました。私の場合、2匹いたので、それをはずしてバラバラにしたりする間にきっと置き忘れかなにかしたのでしょうね。コピーにはありましたので、入国には差し支えはありませんでしたけど)それから、犬の飛行機代を払って終わりです。(2匹で700ドルちょっとでした。高いですねえ!)初めてのことで心配でもあったので、お水などをくれるのかきいたところ、お水ではなく、アイスチップをくれるとのことでした。お水ではこぼれるからでしょう。
事前問い合わせをした時には、クレートの上に、犬をきれいに拭いたりするためのウエットテイシューと食事をビニール袋にいれてテープでとめるようにいわれたため、そうしていましたが、それは着いてからの必要な物のようで、犬を受け取った時には一切使われていませんでした。(あとからわかったのですが、一度クレートにいれた犬は、航空会社の人も日本の検疫の人も手を触れることは一切ないようです。検疫でマイクロチップの番号読み取りの場合に初めて犬をクレートから出すことができるのですが、その場合も、出すのは、飼い主です。)
日本到着
さてさて、心配な旅行が終わり、やっと空港で犬に会えることになるわけですが、この手続きは結構手間がかかります。まず、自分のことを終えましょう。パスポートコントロールを出て、預けた荷物を受け取り、空港の外に出て、そこから貨物へ向かいます。クレートが大きいので、これは車がないと無理です。成田の場合、貨物中央というところから入って、ユナイテッドの貨物へ行きます。その際、検問のようなものがあって、そこで、書類を記入して、一時許可証のようなものをもらいはいります。身分証明書が必要です。
ユナイテッドの貨物にいくと、事務所に犬が待っていました。ここでは、犬の安全を確認できてほっとしますが、まだ、クレートから出すことは許されません。クレートの隙間からおやつをあげたりするのは大丈夫です。貨物の人はとても優しいですよ。ほっとします。そこでエアビルなど持っている書類を見せると、貨物の人がすべて一緒にやってくれます。まず、そこから貨物の人の車で犬と一緒に検疫所にいきます。そこでまた書類の申請などがあり、ちょっと待つと、別室へ行きます。そこに犬がいますので、そこで、検疫の人によるマイクロチップの読み取りがあります。ここで初めて犬を抱くことができますね。うれしい瞬間ですが、すぐにまた戻さなければなりません。マイクロチップの読み取りが終わるとまた事務所へ戻り、検疫証明書をもらいます。そこで、アメリカで航空会社に手渡した書類のオリジナルなどが戻ってきます。
そこで、検疫は終わりです。ちなみに、この間、貨物の人はずっと待っていてくれます。そして、そこから税関へ連れて行かれます。そこでまた、いくつか書類の記入が必要ですが、これも、税関の人が丁寧について教えてくれます。それが終わると、証明書がもらえ、その証明書は日本で滞在する市町村の役所へ届け出をする時に必要になります。(届け出する時はお金もかかります。2匹で7000円もかかりました!。びっくりですが、これで、タグをもらい、今後は注射のお知らせなどがくるようになります)これが終わるとやっと貨物へ戻れます。ちなみに、この間もずっと貨物の人が待っていてくれて、犬と一緒に貨物まで連れて行ってくれます。
貨物についたら、やっと犬をクレートから出せます。貨物は車の出入りがすごいので気をつけなければいけませんが、犬を少し歩かせてトイレをさせたりお水をあげたり、クレートの中をきれいに拭いてあげたりしました。そして、貨物へ手数料を払い(それはたしか二千円弱でした)それで、本当に終わりです。
長いですね~。ぐったり疲れましたよ~。犬も帰りの車の中ではぐっすり安心して眠っていました。でも、これで晴れて日本できちんと暮らすことができるようになるわけです。もちろん市役所へ届け出することをお忘れなく。